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【2026年版】AIエージェントの仕組みと特徴|「答えるAI」から『動くAI』への進化

2026/01/07

【2026年版】AIエージェントの仕組みと特徴|「答えるAI」から『動くAI』への進化
目次

AIエージェントは、近年の生成AIの進化とともに注目を集めている概念です。

単なるAIチャットボットや業務支援ツールとは異なり、AIが自律的に考え、行動し、タスクを前に進める存在として語られることが増えています。


一方で、AIエージェントという言葉が先行し、「具体的に何ができるのか」「従来のAIチャットボットと何が違うのか」が曖昧なまま使われているケースも少なくありません。

実務の現場では、AIエージェントを過度に万能視したり、逆に現実とかけ離れた技術と捉えてしまったりすることで、導入判断を誤る例も見られます。

本記事では、AIエージェントの仕組みと特徴を整理したうえで、AIチャットボットとの違いを実務視点で解説します。

1. AIエージェントとは何か

1-1. AIエージェントは「自律的にタスクを進めるAI」である

AIエージェントとは、与えられた目的に対して、状況を判断しながら必要な行動を選択し、タスクを進めていくAIのことです。

ユーザーからの指示に対して単発で回答するのではなく、目的達成までの一連の流れを前提として動作します。


情報を収集し、整理し、次に取るべき行動を判断するプロセスをAI自身が担うため、人が逐一細かい指示を出さなくても業務を前に進められます。

この「判断と行動を繰り返す構造」が、AIエージェントを従来のAIチャットボットと分ける重要な要素です。

1-2. 生成AI・RAG・AIエージェントの関係性

AIエージェントは、単体の技術として存在するものではありません。

思考や文章生成を担う生成AI、正確な情報参照を担うRAG、そして実行フローを制御する仕組みが組み合わさることで成立します。

生成AIが判断を行い、RAGが企業固有の情報や最新情報を補完することで、AIエージェントは実務に耐える精度を確保できます。

AIエージェントは、これらの技術を「統合して使うための概念」と捉えると理解しやすくなります。


■生成AI・RAG・AIエージェントの役割まとめ

  • 生成AI
    文脈を理解し、自然な文章や回答を生成する役割を担う。
  • RAG
    企業のナレッジや資料を検索し、正確な情報を生成AIに渡す役割を担う。
  • AIエージェント
    生成AIとRAGを組み合わせ、判断や行動を含めてタスク全体を進める役割を担う。

1-3. なぜ今AIエージェントが注目されているのか

AIエージェントが注目されている背景には、企業の業務環境の変化があります。

人手不足が慢性化する一方で、業務は高度化・複雑化しており、人だけで対応する体制には限界が見え始めています。


生成AIが実務レベルで使える品質に到達したことで、AIが「考えるだけ」ではなく「業務を進める役割」を担える可能性が現実的になりました。

この変化が、AIエージェントという概念への関心を一気に高めています。

2. AIエージェントの仕組み

2-1. AIエージェントはどのように判断し行動するのか

AIエージェントは、与えられた指示をそのまま処理するのではありません。

まず目的を理解し、その達成に必要な情報や行動を考えます。


どの情報を調べるべきか、どの順序で処理すべきかを判断しながら、段階的にタスクを進めていきます。

この「判断と実行を往復する構造」が、従来の自動化ツールとの大きな違いです。

2-2. タスク分解と実行フローの考え方

AIエージェントは、一つの大きな目的をそのまま処理しません。

目的を複数の小さなタスクに分解し、それぞれを順番に実行します。

このタスク分解によって、複雑な業務や条件分岐を含む処理にも対応しやすくなります。

人が行ってきた思考プロセスを、AIが一定レベルで再現するイメージです。

2-3. RAGや外部ツールとの連携構造

AIエージェントは、内部の思考だけで完結するものではありません。

RAGを通じて社内ナレッジや資料を参照したり、外部ツールやAPIと連携したりすることで実務に対応します。


情報の正確性と実行力を両立させるためには、この連携構造が不可欠です。

AIエージェントは「考えるAI」ではなく「考えて動くAI」として設計されます。

3. AIエージェントの主な特徴

3-1. 単発の応答ではなく連続した業務を扱える

AIエージェントの最大の特徴は、単発の応答ではなく、連続した業務を前提としている点です。

一度の指示に対して一つの回答を返すのではなく、途中の結果を踏まえながら複数の処理を段階的に進めます


例えば、情報を調べ、整理し、次に取るべき行動を判断する一連の流れを一つのタスクとして扱えます。

この構造により、人がこれまで分断して行っていた業務プロセスをまとめて支援できるようになります。

単なる問い合わせ対応ではなく、業務全体を前に進める存在として機能する点が、AIチャットボットとの大きな違いです。

3-2. 状況に応じて行動を切り替えられる

AIエージェントは、あらかじめ決められた手順だけで動作するものではありません。

途中で得られた情報や条件の変化を踏まえて、次に取る行動を選択します。

想定通りに進まなかった場合でも、別の情報を参照したり、処理順序を変更したりする柔軟性を持ちます。


この特性により、業務にありがちな例外ケースや分岐にも一定レベルで対応できます。

従来の自動化ツールでは難しかった領域に踏み込める点が、AIエージェントの強みです。

3-3. 情報整理と判断補助に強みを持つ

AIエージェントは、最終判断を下す存在ではありませんが、判断に必要な情報整理を得意とします。

複数の資料やデータを横断的に参照し、要点を整理したうえで選択肢を提示します。

人はその整理された情報を基に判断を行うため、意思決定のスピードと質が向上します。

この「判断補助」に特化した役割分担が、現実的な活用を支えています。

3-4. 人の判断を完全に置き換えるものではない

AIエージェントは、人の判断を完全に代替する存在ではありません。

業務を前に進めるための情報整理や選択肢提示を担い、最終判断や責任は人が担う前提で設計されます。


この前提を無視すると、過度な期待や誤った運用につながりやすくなります。

AIと人が役割分担しながら協働する形が、実務における現実的な活用形態です。

4. AIエージェントとAIチャットボットの違い

4-1. AIチャットボットは「対話による案内」を目的とする

AIチャットボットは、ユーザーからの質問に対して適切な情報を返すことを主な目的としています。

問い合わせ対応やFAQ、ナレッジ参照など、対話を通じた情報提供が中心です。

正確に答えること、迷わせずに案内すること、対応スピードを安定させることが重視されます。

業務においては、一次対応や情報整理の役割を担う存在として位置づけられます。

4-2. AIエージェントは「行動を伴う業務支援」を担う

AIエージェントは、情報提供にとどまらず、次の行動を含めて業務を前に進めます。

調査、整理、判断補助、実行準備などを組み合わせながら、タスク全体を進行させる役割を持ちます。


例えば、出張手配を想定すると違いが分かりやすくなります。

  • AIチャットボットのケース

出張規定について質問されると、「新幹線は自由席が原則です」といった規定情報を回答する役割を担います。

  • AIエージェントのケース

まず出張規定を確認し、その条件に合う列車の候補を調べ、移動時間や費用を整理したうえで、上司に承認を依頼するためのメール文案までを一連の流れとして用意します。


このように、AIエージェントは「答える」こと自体をゴールにせず、業務を前に進めるための行動を含めて支援します。

単に答えを返すAIではなく、業務プロセスの一部を担う存在である点が、AIチャットボットとの本質的な違いです。

4-3. 両者は対立する概念ではない

AIチャットボットとAIエージェントは、どちらか一方を選ぶものではありません。

役割が異なり、用途に応じて使い分けられる存在です。

実務では、まずAIチャットボットによって情報提供の基盤を整え、その先でAIエージェント的な動きを検討する流れが一般的です。


■AIチャットボットとAIエージェントの比較表

比較項目

AIチャットボット

AIエージェント

主な目的

情報の提供・案内

タスクの完了・業務遂行

動作の仕組み

1問1答(リアクティブ)

目的に向けて自走(プロアクティブ)

得意なこと

FAQ回答、マニュアル検索

調査、スケジューリング、下書き作成

導入の難易度

比較的容易(ナレッジ整備中心)

高い(業務フローの再設計が必要)

5. 企業でAIエージェントを検討する際の考え方

5-1. いきなりAIエージェントを導入する必要はない

多くの企業にとって、最初からAIエージェントを導入する必要はありません。

AIエージェントは高度な活用形態であり、前提となる業務整理やナレッジ整備が不十分な状態では効果を発揮しにくくなります。


特に、業務フローが担当者ごとに異なっていたり、判断基準が暗黙知になっていたりする場合、AIエージェントはうまく機能しません。

まずはAIチャットボットを活用し、情報提供や問い合わせ対応を安定させることが現実的な第一歩です。

5-2. ナレッジ整備と運用設計が前提条件になる

AIエージェントは、正しい情報を参照できなければ適切な判断ができません。

社内マニュアル、FAQ、過去の対応履歴などを整理し、常に最新の状態を保つ体制が不可欠です。

また、誰がどの情報を更新するのか、どの範囲までAIに任せるのかといった運用ルールも明確にする必要があります。

ナレッジ整備と運用設計が不十分なまま導入すると、誤回答や想定外の動作につながりやすくなります。

5-3. 業務適性を見極めたうえで検討する

すべての業務がAIエージェントに適しているわけではありません。

判断基準が明確で、一定の再現性がある業務ほど、AIエージェントとの相性が良くなります。


一方で、例外処理が多い業務や、最終判断に強い裁量が求められる業務では、人の関与が欠かせません。

業務ごとの特性を見極め、適用範囲を限定して検討することが重要です。

5-4. 人とAIの役割分担を明確にする

AIエージェントは、人の仕事を完全に置き換えるものではありません。

情報収集や整理、選択肢の提示といった工程をAIが担い、最終判断や責任は人が担う設計が現実的です。

この役割分担を曖昧にしたまま導入すると、期待値のズレや運用上の混乱が生じやすくなります。

あらかじめ人が関与するポイントを明確にしておくことが重要です。

5-5. 小さく始めて段階的に拡張する

AIエージェントの導入は、一度で完成させるものではありません。

まずは限定的な業務や範囲から試し、運用を通じて改善を重ねることが現実的です。


運用の中で課題や改善点を把握しながら、徐々に対応範囲を広げていくことで、失敗リスクを抑えられます。

段階的な拡張を前提とした設計が、AIエージェント活用を成功させるポイントになります。

6. AIチャットボットの視点から見るAIエージェントの位置づけ

6-1. AIチャットボットは情報提供の基盤として機能する

AIチャットボットは、企業の情報提供を支える基盤として重要な役割を果たします。

正確な情報を安定して提供できることが、すべてのAI活用の前提になります。


この基盤が整っていなければ、AIエージェントの活用も難しくなります。

6-2. AIチャットボットはエージェント化の土台になる

AIチャットボットにRAGや検索技術を組み合わせることで、より高度な活用が可能になります。

情報参照や文脈理解が安定することで、AIエージェント的な動きにも対応しやすくなります。

まずはチャットボットとしての精度と運用を確立することが重要です。

6-3. 企業ごとに最適な進め方は異なる

AIチャットボットとAIエージェントの使い分けは、企業の課題や成熟度によって異なります。

すべての企業が同じステップを踏む必要はありません。

自社の業務状況に応じて、最適な導入段階を選ぶことが重要です。

6-4. 複数のAIエージェントが連携する動きも進んでいる

2026年時点ではマルチエージェントと呼ばれる、単体のAIエージェントだけでなく、複数のAIエージェントが役割分担しながら連携する考え方も注目されています。

一つの業務を一つのAIで完結させるのではなく、調査を担当するエージェント、判断材料を整理するエージェント、実行を補助するエージェントが連携する構成です。


業務が高度化・複雑化する中で、こうした分業型のアプローチは理にかなっています。

ただし、このようなマルチエージェント構成は、すべての企業にとって今すぐ必要なものではありません。

前提となるナレッジ整備や運用設計が不十分な状態では、かえって管理負荷が高まる可能性があります。

まずはAIチャットボットを基盤として情報提供や業務支援を安定させ、その延長線上で必要に応じてエージェント的な役割を拡張していく考え方が現実的です。

7. まとめ

AIエージェントは、自律的にタスクを進めるAIとして注目されています。

一方で、すべての企業が今すぐ導入すべき技術ではありません。


AIチャットボットを基盤に、ナレッジ整備と運用設計を進めながら、段階的に活用領域を広げていくことが現実的な選択です。

AIエージェントは、その延長線上で検討される技術として位置づけることが重要です。


私たちは、AIチャットボット inchatの導入だけでなく、AIを活用した業務設計や運用支援まで提供しています。

AIの活用を検討されている場合、業務内容や体制に合わせて、どの工程にAIを組み込むべきか整理したうえで、ニーズに応じた最適なプランをご提案します。

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